ネットマーブルと仮想通貨

ネトマのディープなニュースを発信。更新遅いです。

ネットマーブルの決算発表

赤字が続くも代表取締役からは強気の発言

11月9日にネットマーブルの決算が発表されました。

company.netmarble.com


ここ2年ほど、ネットマーブルは赤字が続いています。今期も赤字でした。
理由は新作の不振や既存タイトルの売り上げ低下です。
株価も上場以来、右肩下がりです。


しかし代表取締役のクォン・ヨンシク氏は「来期には黒字転換できるだろう」と強気の発言をしています。
来期は何が違うのでしょうか。

決算を見れば答えはあるはず!
ということで、さっそく決算報告を見ていきましょう。

純利益

株主が最も注目すべき点です。
純利益とは、全ての差し引きを終えた後の最終的に残った利益です。配当金の原資でもあります。
そして今期と過去4期分の対比がこちらです。


確かに、数字だけ見れば来期は黒字化できそうではありますね。
黒字化を達成できる要因はどこにあるのか、次はジャンル別の売り上げを見てみましょうか。

カジュアルゲーム中心、MMOはわずか10%


カジュアルゲーム全盛期ですね。
最近でいえば、ネットマーブルが抱えるオリジナルタイトル「セブンナイツ」をカジュアル化した「セブンナイツポケット」がリリースされましたが、市場の予想を良い意味で裏切る形となっています。
カジュアルという言葉がまったく似合わないゲーム性から、よくここまで手軽にできたなと思います。

カジュアルゲームといえばプレイ時間の少なさが特徴ですが、今作は従来のセブンナイツと同じく編成・スキルを考える時間が必要な歯ごたえのあるデザインで、うまい具合に両立させています。面白いです。



元々課金者が少なくても運営できるように広告視聴を事実上必須にデザインされたゲームです。
ただ、思いのほか売り上げもいいようで、韓国ではリリース初週に週間ランキング1位を獲得しています。
ボイス無し・ストーリー無しは笑えるほど低コスト路線に突き抜けています。

ネットマーブルはこれまで、カジュアルゲームにはそこまで力を入れてこなかった会社です。
ここ最近は「神之塔」を始めとしたアニメ作品のカジュアルゲームも目立ちます。
こちらも売り上げがよく、同ゲーム内のチャットルームで、すでに売り上げの5%を占めていると聞きました。

ということは、今後もカジュアルゲームを増やし、売り上げを増やしていくつもりなのでしょうか。
次の画像を見ると、そういうわけでもなさそうです。

発売を控えた新作ゲーム


3本のうち、2本がMMORPGです。
そう、従来の重課金要素が豊富なハイスペックのゲームもしっかりと作っています。ありがとう。

これは非常にいい傾向で、最新技術を駆使する設備にも投資し続けていることがわかります。
カジュアルゲームは大きな設備投資を必要としないため、開発コスト自体は低くなりますが、技術的な競争市場からは間違いなく淘汰されます。
そして、一度落ちればそんな技術を駆使できるプログラマーもいなくなるため、二度と上がってはこられないのがこの市場。

PS3,XBOX360世代(2006年頃)なら、当時は日本と欧米との差を嫌というほど感じていたでしょうね。
ゲームが日本のメーカーからは数えるほどしか発売されなかった悲しい時期です。

かつて右に出るものがいなかった日本勢の敗因は極めて単純です。
PS2発売後からPS3が発売されるまでの5年間、高スペックを駆使したPCでの開発も同時に行っていた欧米勢と、PS2のみで開発を行っていた日本勢との技術的な差が顕著に出たからです。

スマホでも今、同じことが起こっています。
大ヒットしているゲーム「原神」を見ればわかるように、近年は最新のスマホでなければ動かないようなゲームを作り、PC版も同時に展開させユーザーを囲うのがハイスペック路線の戦略となっています。



今やスマホゲームはスマホだけに留まる時代ではなくなりました。
そしてこういった路線の開発には大きな設備・人的投資が必要不可欠です。

ネットマーブルが赤字なのは間違いないんですが、原因はハイスペックゲームの作りすぎからきています。
僕は、これは成長するために必要な赤字だと思っています。
では、ここからどう黒字化させるつもりなのでしょうか。

鍵はMMOと日本市場

日本市場の売り上げがわずか6%ですが、まだまだ伸ばせる余地はあります。
一度日本市場でユーザーが定着すると、その売り上げは非常に大きいものとなります。
中国メーカーが開発した原神は日本で1200億円以上の売り上げを達成しています。

www.4gamer.net


日本市場には従来型のゲームがヒットする土壌が十分にあります。
そして、ネットマーブルの新作「七つの大罪オリジン」や決算レポートには載っていない日本未発売の「セブンナイツレボリューション(以下セナレボ)」はそのチャンスを狙えるでしょう。
特に七つの大罪版権モノなので、日本では強いでしょうね。

ちなみにセナレボはセブンナイツシリーズ初のMMOで、さらに版権モノではなくオリジナルタイトルのため、利益は全て自社に還元されます。
仮に月額課金制であれば、長期的に収益を生み出す柱となります。
内製MMOは企業にとって、とんでもないドル箱です。

過去「ラブライブ」で有名になったKlabも同じようにオリジナルのMMOを作っていました。
アニメ化も同時に展開し、人気のVtuberもゲーム内のキャラクターとして使えるようにしたりと、マーケティングも十分だったように思います。
僕も開発状況を定期的に報告する生放送を見ていました。

そして満を持して発売された「禍(まが)つヴァールハイト」は、わずか2年でサービスが終了しました。



大コケしちゃったんですよね。
まずゲームの問題点として、バトルのスピード感がなさすぎて、敵と戦うのが面倒臭かったです。
戦闘時間を長くすることで、ゲームの総プレイ時間を引き延ばしたかったんでしょうか。
ユーザーがいかに快適にプレイできるか、という部分が置き去りにされたゲーム作りだったように思います。
そのほかにも移動速度が遅かったり、ボイスの実装がちぐはぐだったりと、いかにも制作経験の不足からくる失敗が詰め込まれていました。
開発が追い付かず、ユーザーに不便を強いることでゲームに長時間留めようとしたんですね。
しかし、群雄割拠のMMOでは通用しません。完全な愚策です。

当時は時代の風雲児だったKlabにとっては痛い失敗だったと思います。
開発費も相当かかっていたのか、そこからは話題になるような大作を出せていません。株価も酷いことになっていますね。

ただ、失敗はつきものです。
あのファイナルファンタジー14(以下FF14)ですら、サービス立ち上げ時には大きな失敗をしています。
サーバーに人が9人しかいなかったのはもはや伝説です。

FF14という超大型タイトルにも関わらず、ゲーム内の「ボーダム」という名前のサーバーに人が9人しかいなかったことから、「ボーダム暁の九英雄」と呼ばれた9人のユーザーがいます。嘘のような本当の話。


それでも、今は大幅に改善され大成功しています。
売上は四半期毎に500億円を超えているようで、凄まじいですね。

ネットマーブルは同ジャンルでの開発経験は豊富ではありません。
MMORPGをヒットさせるのは至難の業だと思います。
現状2016年に発売された「リネージュ2レボリューション」を除き、大きなヒットは出ていませんからね。
目下の目標としてはMMOの成功でしょうか。
七つの大罪にかかる期待は大きいです。

セナレボも個人的にはFF14のように月額課金で展開してほしいところです。ガチャ無しセブンナイツはだめでしょうか。
ゲームプレイだけにリソースを割いたセブンナイツもやってみたいんですが・・・。